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*上の画像はStable Diffusionで"impacts of climate change on rice cultivation in Japan"のプロンプトで生成させた画像です。

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植物資源の利用、食生活に関する文献、ウェブに公開されているデータとその解析、DX・データサイエンスに関する話題、データ解析に用いたプログラムのコード(主にPython)などを紹介します。

日本の米生産への気候変動の影響_01
- 3種の対話型AIで初期調査をしてみる -

カテゴリー: 気候変動の影響、データサイエンス

作成日: 2023-04-24

 気候変動が私たちの身近な生活や農作物生産に与える影響について調査しています。これまで、私たちは詳しく知らない分野について初期調査をする場合、Google検索を利用していましたが、この1年間でいくつかの対話型AIが公開されました。今回は、これらのAIを用いた調査結果を報告します。対話型AIは自然言語で対話するため、人格を持っているかのような印象を与える場合がありますが、人格を求めずに、情報探索のサポートツールの1つとして使用することが望ましいです。
 今回は、大きな話題となったOpenAIが公開したChatGPT、Googleが対抗して公開したBard、一般の認知は低いですがかなり便利なPerplexty AIを使用した結果を紹介します。
 余談ですが、上段の画像も画像生成AIのstable diffusionをpythonのプログラムから プロンプト"impacts of climate change on rice cultivation in Japan." を使って作成しました。対話型のAIの登場により"プロンプト エンジニアリング" なる言葉も出現しています。

対話型AIへ入力した文章

3種の対話型AIには以下の入力をしました。GoogleのBardは日本語には対応していなかったので英語で入力して、英語の回答を日本語に訳しています。翻訳にはDeepl翻訳を使いました。

  • ChatGPT、Perplexity AIへの入力文章: "日本の米生産への気候変動の影響を教えてください。"
  • Bardへの入力文章:"What are the effects of climate change on rice production in Japan?"
 

ChatGPTの回答

「気候変動は、日本の米生産に多大な影響を与えています。日本の気候は、米の生産に最適な条件であると考えられており、気候変動によって変化する気象条件は、米の生産に直接的な影響を与える可能性があります。
一般的に、日本の気候変動は、より暑く乾燥した夏季や、より強い台風や豪雨などの極端な気象現象をもたらしています。これらの変化は、米の生育や収穫に影響を与える可能性があります。
たとえば、米の生育には十分な水が必要であり、気候変動によって降水量が減少した場合、米の生育に支障をきたす可能性があります。また、気温の上昇によって、稲作の休耕期間中に土壌中の栄養素が流出する可能性があります。さらに、極端な気象現象によって、収穫量や品質に悪影響を与えることがあります。 これらの問題に対処するために、日本の農業者は、より耐久性のある品種の開発や、水の管理の改善、土壌の改善など、様々な手段を取っています。また、政府も、農業者を支援するために、資金や技術の提供などの支援策を講じています。しかし、気候変動の進行によって、これらの対策が不十分となる可能性もあります。」

Bardの回答

「米は日本の主食であり、その生産は気候変動の影響を非常に受けやすいと言われています。気候変動は日本の米生産に大きな影響を与えると予測されており、21世紀末には最大で28%の収量減少の可能性があります。気候変動が日本の米生産に与える主な影響は以下の通りです:
気温の上昇: 気温の上昇:気温の上昇は稲にストレスを与え、収量を減少させます。
降水パターンの変化: 降水パターンの変化:降水パターンの変化により、干ばつや洪水が発生し、稲作に被害を与える可能性がある。
病害虫の発生率の増加: 気候変動は、稲作に被害を与える病害虫の発生に適した条件を作り出す可能性があります。
気候変動に適応するため、日本の農家は以下のような戦略を採用しています:
灌漑と排水システムを改善する:干ばつ時に稲が水を確保し、洪水で被害を受けないようにする。
熱ストレスや病害虫に強い米の新品種を開発する: 気候変動の影響から稲作を守ることができます。
田植えと稲刈りの時期を変える: これにより、異常気象の時期を避けることができます。
気候変動は日本のコメ生産にとって深刻な脅威ですが、農家と政府は気候変動に適応するための措置を講じています。」

Bardでは回答の下に”Googl it"というボタンが現れ、それをクリックすると3つの検索候補リンクが表示されて、それらをクリックするとGoogle 検索結果のページのタブへ飛びます。トップの検索フレーズは"Climate change effect on rice production in Japan" でした。

Perplexity AIの回答

「気候変動が日本の米生産に及ぼす影響について、経済分析が行われています1)。気温変化などの気候変動は、最も基本的な環境変化の一つであり、日本の農産業にも大きな影響を与えるとされています2)。温暖化により、現在より3℃を超える高温になった場合、北日本を除き、コメ生産が減少すると予測されています1)3)。農業生産における気候変動適応ガイドには、高温に係る影響と、その対策としての栽培技術や品種転換が記載されています3)。
1)気候変動が日本の米生産に及ぼす影響の経済分析 https://www.agr.hokudai.ac.jp/gs/master/2010/10000400.pdf
2)温暖化が日本の食卓を変える? 気候変動が特産物に与える影響 https://www.greenpeace.org/japan/campaigns/story/2022/12/14/60548/
3)農業生産における気候変動適応ガイド https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/attach/pdf/index-102.pdf 」

Plexity AIは回答の根拠となる出典のサイトのリンクが記載されています。出典の内容を要約して作成しているようです。

3種のAIの回答を比較

ChatGPT、Bard、Perplexity AIの回答を比較しました。ChatGPTに比較させた文章をもとに修正して作成しました。複数の文章を比較させるには、とても便利です。

【共通点】 全ての回答は、気候変動によって降水量や温度が変化することで、米生産に悪影響を与える可能性があることを述べています。 また気候変動によって稲作に適した条件が損なわれるため、農家が対策を講じる必要性があることを示唆しています。

【差異】 ChatGPTの回答は、日本の気候が米生産に最適であると考えられていること、気候変動が日本の気象条件を変化させる可能性があること、極端な気象現象が収穫量や品質に影響を与えることを主に扱っています。
Bardの回答は、21世紀末に最大で28%の収量減少の可能性があること、気温の上昇、降水パターンの変化、病害虫の発生率の増加が日本の米生産に与える影響について詳しく述べています。
Plexity AIの回答は、経済分析が行われていること、気温変化などの気候変動が日本の米生産に与える損失の大きさが計算されていることを特に強調しています。また、政府が農家に対して支援策を講じていることも述べられています。

3種のAIを使用して初期調査してみた感想

 複数のAIの回答には共通点もあれば、違いもあり、様々の視点からの情報探索の出発点を得ることができました。Google検索による詳細な情報探索をする前の事前調査としては大変便利です。
 Perplexity AIは回答の文章の出典が示されているので回答の確認がしやすいですが、ChatGPTとBardは回答の文章の出典が無いので、情報の確認を別にする必要があります。ただBardではGoogle検索のための検索文章が示され、クリックするとすぐ検索結果が得られるのは便利です。
 情報の探索・調査手法も今後は少し変わって行くようです。

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