研究活動

【平成の歩み】 杉山産業化学研究所研究事業・共同研究の推移 (各年度事業報告書より作成)


平成時代の研究事業の推移を俯瞰するために、年報で報告されている研究をガントチャートで表示した(テーマ名は頭から30文字まで表示)。
大きくは(1)レクチン・糖鎖関する研究、(2)機能性食品素材に関する研究、(3)機能性素材・工業的利用・環境に関する研究の3領域に分けられる。

(1)レクチン・糖鎖に関する研究は、複合糖質の糖鎖研究から、糖鎖の生理機能解析研究へと展開し、近くは、レクチンの機能性活用研究へと回帰している。産業総合技術研究所が主導する糖鎖プロジェクトに参画し、多様な構造を持つ糖鎖を認識する新規な多種類のレクチンライブラリーの   構築に大きな貢献をした。共同研究では、東京理科大学 池北教授と20年の長きに渡り、ご指導を頂いた。静岡県立大学 奥直人教授、清水助教には「レクチンリポソームの抗ガン剤への応用」で特許出願した。感染症では「レクチンと抗ウィルス活性の評価」のテーマで長崎大学 小林信之教授と共同研究を進め、成果を特許出願した。一方、レクチンの診断への応用では、日本大学 根本則道教授、中西陽子助教と「固形腫瘍全般を対象としたレクチンの病理診断への応用」の共同研究を進めた。

(2)機能性食品素材に関する研究は、α-ガラクトース転移酵素の研究を大阪市立工業研究所 北畑寿美雄主任研究員、中野博文研究員らの指導を受け、20年にわたり、酵素の特性研究、α-結合ガラクトオリゴ糖の生成研究を行った。澱粉利用については、混合澱粉の物性研究や澱粉特性の改質研究を行った。微量成分の研究では、ビタミンK2の精製と濃縮に関する研究が挙げられる。

(3)機能性素材・工業的利用・環境に関する研究では、長岡技術大学 福田雅夫教授との共同研究「難分解性環境汚染物質分解酵素系の解析と応用」が12年にわたり行われた。機能性色素材料、均一粒径を有する有機微粒子の合成研究など、新しい機能性材料へのチャレンジが行われている。近くは、「超臨界・亜臨界流体を用いた食品成分の改質」をテーマに、名古屋大学 後藤元信教授の指導のもと、共同研究している。